2013/01/16 『ベラ・チャスラフスカ 最も美しく』

『ベラ・チャスラフスカ 最も美しく』〈後藤正治著、文藝春秋、2004.7〉781.5||Go

1964年、東京オリンピックで金メダルを獲得し日本中を虜にしたチェコの女子体操選手ベラ・チャスラフスカ。
彼女の波乱に満ちた半生を中心に、彼女と同時代を生きた女子体操選手、あるいは彼女以降に登場したその時代を代表する選手の姿を描いた作品です。

1968年、彼女はチェコスロバキアの民主化運動「プラハの春」への支持を表明して「二千語宣言」に署名します。
その後チェコ当局から何度も署名撤回を求められますが、彼女は頑として拒否し続けたためチェコスロバキアの「正常化体制」時代、非常に困難な状況に置かれ続けます。
弾圧、家族の不幸、離婚…20年に及ぶ長い絶望と苦悩の日々を経て、1989年、チェコは「ビロード革命」によって共産党体制が崩壊し、彼女は復権、大統領顧問やチェコオリンピック委員会委員長を務めます。
しかしその後、息子が起こした思わぬ事件で精神を病むことになります。

著者の後藤先生は、時代に翻弄されながらも信念が報われる日を信じ、体制と戦い続けた、ベラ・チャスラフスカさんの人生を軸に当時のスター選手たちを含む周辺の人物を徹底的に取材して、ベラさんの生き様・人物像を掘り下げ、浮かび上がらせています。
取材地域はチェコを始めとしてロシア、ウクライナ、ルーマニア、アメリカに及び、この作品を仕上げるのに、実に5年もの歳月がかかっているそうです。

東欧の社会主義圏で過酷な人生を歩まなくてはならなかった彼女の、人間としての美しさ、強さに胸をうたれる作品です。

1/17に、後藤先生によるこの『ベラ・チャスラフスカ 最も美しく』をめぐっての公開講座が、306教室で16時40分より開催されます。ぜひご参加ください。
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