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2010/04/14 『不思議な少年』

『不思議な少年』 (マーク・トウェイン作 中野好夫訳、岩波書店、1999.12、改版)
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 学生の頃、図書館で立ったままついつい一気読みしてしまったこの本。最近また読み返してみました。
『トム・ソーヤーの冒険』などの作者として知られるマーク・トウェインの晩年のこの作品は、未完のまま遺され、編集者の手により編集され世に出ました。晩年期のペシミズムが色濃い作品とされています。
 ある日町にあらわれた「サタン」という名の少年。天使であるサタンは、お金も物も自由自在に出すことが出来るし、未来も簡単に変えることができる。非常な残忍さ(?)を持ち合わせているのに、サタンに会うとみんながすてきな気分になってしまうし、会えない日が続くと、退屈な気持ちになってしまう。
 人間の愚かさが嫌というほど描かれていながら、全編通して変に明るくて飄々としている、そこが、逆にそら恐ろしい。
 人間の「悪」について、「良心」という認識についてぐらぐらと揺り動かされる作品です。寂しいような切ないような読後感は、サタンにどこか人間味を感じてしまったせいかもしれません。
 解釈や好みは、読者によって異なりそうなこの作品。ぜひ一度自分自身の目で確かめてみてください。

2010/02/03 『犠牲 (サクリファイス) わが息子・脳死の11日』

『犠牲 (サクリファイス) わが息子・脳死の11日』(柳田邦男著、文藝春秋、1999.6)
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 脳死について、人の見解を読んだり聞いたりする機会はそれまでありましたが、自分の頭で考えたことは、わたし自身この本を読むまでなかったように思います。
 ノンフィクション作家である著者。その息子が25歳で自死を図り脳死状態に陥りました。その日から11日間の記録を記したのがこの作品です。かつて多くの言葉を交わした一つの体を目の前にしながら日数を重ねる著者の動揺や苦しみ、気持ちの変化を読み進めるうちあなたはどのような思いを抱くでしょうか?
 作中のリアルな言葉に触れることで、尊厳死、脳死、臓器移植、さらに自死という問題について、深く考えるきっかけになる一冊ではないかと思います。

2009/11/19 『新訂 企業博物館事典』

『新訂 企業博物館事典』(日外アソシエーツ編集部編、日外アソシエーツ、2003.1)
069||Ni *禁帯出

 「企業博物館」とは、企業や業界団体によって設置されている博物館。例えば、神戸の「UCCコーヒー博物館」も、この本に掲載されています。
 企業博物館の中には、なかなか他では見られないような貴重な資料がおさめられたものが多くあります。
 大阪府にある「つまようじ資料室」や、愛知県にある「世界のタイル博物館」、岐阜県の「氷砂糖資料館」などなど・・・なんだか気になる施設がたくさん。
 この本には、国内各地、258館の企業博物館が紹介されています。
 あなただけのお気に入りスポットを探してみてはいかがですか?

※少し前に発行されている本なので、お出かけの前には、公式サイトでの詳細確認をオススメします。

2009/11/07 『多様な世界 ウクライナ・日本 木造建築』

『Facets of the world, Ukraine – Japan, wooden architecture 
   多様な世界 ウクライナ・日本 木造建築』
(Halyna Ševcova著、Hrani-T、2006) 520.2||Se

 ウクライナの田舎町にひっそりと建つ木造建築が、日本の木造建築とよく似ていることをご存知ですか?この本では、右頁にウクライナの写真、左頁に日本の写真を載せてあり、見開きで見比べることができます。
 例えば、岐阜県白川郷の庄川にかかる木の橋と、Trans Carpathian area の Uj Riverにかかる木の橋。一見どちらが日本のものか分からないくらいよく似ています。
 おとぎの国のワンシーンのような淡い色彩のウクライナの田舎の風景。やさしい色のコスモスが、ウクライナの小さな村の木造の民家のそばで揺れている写真を目にして、懐かしいような、不思議な気持ちになりました。

2009/10/23 ☆シリーズ3点おすすめ☆

図書館に入荷中のシリーズの中から、おすすめのものを紹介します。ぜひチェックしに来て下さいね♪

●「爆笑問題のニッポンの教養 爆問学問」シリーズ (太田光 田中裕二 ほか著 講談社) 049||Ba
爆笑問題の二人と各分野の専門家が、対話形式で問題の根源に迫ります。同タイトルのテレビ番組の書籍版。難しい主題でもするする面白く読めますよ!

●「日本の名随筆」シリーズ(作品社) 914.68||Ni
「猫」「死」「鳥」「心」・・などそれぞれのテーマごとに編まれた随筆集。しっとりと完成度の高い随筆を味わうなら、このシリーズがおすすめです。まだ知らない文豪と出会うきっかけになりそう。

●「興亡の世界史」シリーズ(講談社) 209||Ko
世界史好きな人はもちろん、世界史が苦手な人にこそ読んでもらいたいシリーズ。
単に歴史の概略を述べているだけではないところがポイント。「どうしてなのか?」と問いかけることで、過去の事象から現在を、歴史上の人物から自分自身を知ることができるかもしれません。