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2012/07/06 『奇蹟の画家』

『奇蹟の画家』〈後藤正治著、講談社、2009.12〉 723.1||Go

「いささか私的な事柄からはじめてもいいであろうか。そのことがなければ、絵と出会うことも、画家に出会うことも、また絵と画家に関わった人々と出会うこともなかったわけであり、この小さな物語を書きはじめることもなかったであろうから。」(本書p.14より)

この書き出しにある「私的な事柄」とは、後藤先生が当学での教員を依頼されたことです。
そこで担当することになった「文化講座」の講義で、先生はゲストに島田誠さんを講師に招き、一枚の絵に出会います。
それは、「少女とも聖母像とも聖像画(イコン)とも映る。」(本書p.17より)石井一男さんという画家が描いた小さな肖像画でした。

本書は、その偶然出会った石井一男さんの作品をめぐる物語です。

7/19に、後藤先生によるこの『奇蹟の画家』をめぐっての公開講座が、306教室で16時40分より開催されます。
当学の講義で先生が島田さんに出会われ、皆さんに石井さんを紹介されたことも一つの奇蹟かもしれませんね。
この出会いを大切に、是非こちらの講座にもご参加下さい。

*石井一男さんの絵は、図書館でもご覧になれます。
『絵の家 石井一男画集』 (石井一男著、ギャラリー島田、2008.10) 723.1||Is

2012/04/17 『清冽 詩人茨木のり子の肖像』

『清冽 詩人茨木のり子の肖像』(後藤正治著、中央公論新社、2010.11) 911.52||Go

 「自分の感受性くらい 自分で守れ ばかものよ」

茨木のり子さんの詩、「自分の感受性くらい」の最後です。
読んで、どのように感じましたか?
怒られているような、でも励ましているような、また反省しているような。。。

「詩は文芸の領域で最上位に位置するもの」と後藤先生も本書のなかで言われており、詩は短い言葉にもかかわらず、人々のこころに与える影響は非常に大きいです。
本書は詩人の生い立ちから、「倚りかからず」や「わたしが一番きれいだったとき」などの有名な作品が生まれた背景を、丁寧に、真摯に書き綴っています。
そこには、余分な表現はなく、後藤先生の控えめな詩人に対する評価の仕方で、茨木のり子さんの人柄を浮かびあがらせています。
それにより、純粋に詩の力が伝わり、ぼんやりしていた自分の「感受性」の輪郭がはっきりするようで、身が引き締まります。

ぜひ以下にあげた本も併せて、ゆったりと読んでみてください。

*『自分の感受性くらい』 (茨木のり子著、花神社) 911.56||Ib
*『倚りかからず』 (茨木のり子著、筑摩書房) 911.56||Ib
*『詩のこころを読む』 (茨木のり子著、岩波書店) 911.5||Ib

2011/07/27 『世界の民族音楽辞典』

『世界の民族音楽辞典』(若林忠宏編著、東京堂出版、2005.9) 760||Wa *禁帯出

 音楽について知るには、聴いたり、楽器に触れたりしなくてはいけませんが、この本は「聴こう」というきっかけとしてや、実際に民族音楽を聴いてみて気になったことを調べるのにおすすめの一冊です。
 「トルコの音楽」「アンデスの音楽」などの各地域毎の音楽について分かりやすくまとめた項目と、楽器や演奏法その他用語についての項目とを五十音順で調べることができます。
 この本は、世界中の900種以上の民族楽器を演奏する音楽家でもある若林忠宏氏によって執筆されています。一人の人間がまとめたとは思えない内容の濃さに、著者の民族音楽への深い愛情を感じることができます。楽器やCDジャケットの写真も豊富で、気になる音楽や楽器がどんどん見つかってしまうかも? 世界中のまだ聴いたことのない音楽の世界へ、一歩近づいてみませんか?

2011/05/06 『ひとりたび2年生』

『ひとりたび2年生』(たかぎなおこ著 メディアファクトリー 2007.12) 291.09||Ta||2

 ずっとあこがれていて、なかなか実現できない「ひとりたび」。ましてや女の子なら不安はなおさらのこと。それでも、何処へ行くか、何をするかを自分で決めて、行動したいっ!-そんな気持ちを後押ししてくれる一冊です。
 寝台特急に乗って北海道へ、伊豆では断食デトックスに挑戦、はたまた、石垣島でウィークリーマンションを借りてたっぷり14日間滞在など、列車で船で飛行機で、日本列島を駆け巡る著者。初めて遭遇することには誰でもオロオロするもの、でもそこで学ぶこともきっと多いはず。素朴な著者の体験を見ていると、自分でも出来そう?!と勇気づけられました。
 
♪たかぎなおこさんの本は他にも所蔵がありますよ♪
○『ひとりたび1年生』 291.09||Ta||1
○『ローカル線で温泉ひとりたび』 291.09||Ta 
○『愛しのローカルごはん旅』 596.04||Ta

2010/04/14 『下駄で歩いた巴里 林芙美子紀行集』

『下駄で歩いた巴里 林芙美子紀行集』
(林芙美子 [著] 立松和平編、岩波書店、2003.6)I-G||169-2

 昭和のはじめ頃、帰りの旅費も持たずに単身中国からシベリア鉄道に乗りヨーロッパへ渡った、元祖バックパッカーとも言われる林芙美子の紀行集です。厳しい社会情勢をもろともしない、自由ですがすがしい筆致に読み進めるうちに著者のことを好きになってしまいました。
 旅先で出会った親切な人々、陽気な人々とのやり取りや、変な映画、旅先での何でもない日々について・・・。海外で一人、言葉はかたことでお金はないながらも、楽しく時々さびしがったりもしながら素直な旅を続けていきます。
 パリの一室で風邪で寝込みながらもらす一言「本当は悲しくなってしまって、何か考える事でいっぱいなんですよ。」(「ひとり旅の記」p.163より)や、「苦しいことは山ほどある。一切合財旅で捨て去ることにきめている」(「文学・旅・その他」p.292より)との芙美子の言葉にピンと来た人は、是非ご一読ください。
 旅を愛する人、文学を愛する人に、一押しの一冊です。

2010/04/14 『不思議な少年』

『不思議な少年』 (マーク・トウェイン作 中野好夫訳、岩波書店、1999.12、改版)
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 学生の頃、図書館で立ったままついつい一気読みしてしまったこの本。最近また読み返してみました。
『トム・ソーヤーの冒険』などの作者として知られるマーク・トウェインの晩年のこの作品は、未完のまま遺され、編集者の手により編集され世に出ました。晩年期のペシミズムが色濃い作品とされています。
 ある日町にあらわれた「サタン」という名の少年。天使であるサタンは、お金も物も自由自在に出すことが出来るし、未来も簡単に変えることができる。非常な残忍さ(?)を持ち合わせているのに、サタンに会うとみんながすてきな気分になってしまうし、会えない日が続くと、退屈な気持ちになってしまう。
 人間の愚かさが嫌というほど描かれていながら、全編通して変に明るくて飄々としている、そこが、逆にそら恐ろしい。
 人間の「悪」について、「良心」という認識についてぐらぐらと揺り動かされる作品です。寂しいような切ないような読後感は、サタンにどこか人間味を感じてしまったせいかもしれません。
 解釈や好みは、読者によって異なりそうなこの作品。ぜひ一度自分自身の目で確かめてみてください。

2010/02/03 『犠牲 (サクリファイス) わが息子・脳死の11日』

『犠牲 (サクリファイス) わが息子・脳死の11日』(柳田邦男著、文藝春秋、1999.6)
916||Ya

 脳死について、人の見解を読んだり聞いたりする機会はそれまでありましたが、自分の頭で考えたことは、わたし自身この本を読むまでなかったように思います。
 ノンフィクション作家である著者。その息子が25歳で自死を図り脳死状態に陥りました。その日から11日間の記録を記したのがこの作品です。かつて多くの言葉を交わした一つの体を目の前にしながら日数を重ねる著者の動揺や苦しみ、気持ちの変化を読み進めるうちあなたはどのような思いを抱くでしょうか?
 作中のリアルな言葉に触れることで、尊厳死、脳死、臓器移植、さらに自死という問題について、深く考えるきっかけになる一冊ではないかと思います。

2009/11/19 『新訂 企業博物館事典』

『新訂 企業博物館事典』(日外アソシエーツ編集部編、日外アソシエーツ、2003.1)
069||Ni *禁帯出

 「企業博物館」とは、企業や業界団体によって設置されている博物館。例えば、神戸の「UCCコーヒー博物館」も、この本に掲載されています。
 企業博物館の中には、なかなか他では見られないような貴重な資料がおさめられたものが多くあります。
 大阪府にある「つまようじ資料室」や、愛知県にある「世界のタイル博物館」、岐阜県の「氷砂糖資料館」などなど・・・なんだか気になる施設がたくさん。
 この本には、国内各地、258館の企業博物館が紹介されています。
 あなただけのお気に入りスポットを探してみてはいかがですか?

※少し前に発行されている本なので、お出かけの前には、公式サイトでの詳細確認をオススメします。

2009/11/07 『多様な世界 ウクライナ・日本 木造建築』

『Facets of the world, Ukraine – Japan, wooden architecture 
   多様な世界 ウクライナ・日本 木造建築』
(Halyna Ševcova著、Hrani-T、2006) 520.2||Se

 ウクライナの田舎町にひっそりと建つ木造建築が、日本の木造建築とよく似ていることをご存知ですか?この本では、右頁にウクライナの写真、左頁に日本の写真を載せてあり、見開きで見比べることができます。
 例えば、岐阜県白川郷の庄川にかかる木の橋と、Trans Carpathian area の Uj Riverにかかる木の橋。一見どちらが日本のものか分からないくらいよく似ています。
 おとぎの国のワンシーンのような淡い色彩のウクライナの田舎の風景。やさしい色のコスモスが、ウクライナの小さな村の木造の民家のそばで揺れている写真を目にして、懐かしいような、不思議な気持ちになりました。

2009/10/23 ☆シリーズ3点おすすめ☆

図書館に入荷中のシリーズの中から、おすすめのものを紹介します。ぜひチェックしに来て下さいね♪

●「爆笑問題のニッポンの教養 爆問学問」シリーズ (太田光 田中裕二 ほか著 講談社) 049||Ba
爆笑問題の二人と各分野の専門家が、対話形式で問題の根源に迫ります。同タイトルのテレビ番組の書籍版。難しい主題でもするする面白く読めますよ!

●「日本の名随筆」シリーズ(作品社) 914.68||Ni
「猫」「死」「鳥」「心」・・などそれぞれのテーマごとに編まれた随筆集。しっとりと完成度の高い随筆を味わうなら、このシリーズがおすすめです。まだ知らない文豪と出会うきっかけになりそう。

●「興亡の世界史」シリーズ(講談社) 209||Ko
世界史好きな人はもちろん、世界史が苦手な人にこそ読んでもらいたいシリーズ。
単に歴史の概略を述べているだけではないところがポイント。「どうしてなのか?」と問いかけることで、過去の事象から現在を、歴史上の人物から自分自身を知ることができるかもしれません。