こども学科 川谷 和子先生 推薦
「子どもへのまなざし」「続・こどもへのまなざし」「完・子どもへのまなざし」
佐々木 正美著

この書籍は、全3巻シリーズになっており、すべて同じタイトルで書かれています。
児童精神科医である佐々木正美さんは、「まなざし」という言葉を通して、子どもに向ける思いやり、やさしさ、あたたかさなどを3巻すべてにちりばめています。もちろん、子どもだけでなく、著者が長年にわたって関わり続けた保護者や保育者にも、「まなざし」は注がれています。この本を見た時、あら!と気づく人もいるでしょう。そうです。「ぐりとぐら」の挿絵を描かれている山脇さんが、著者の語りかけに添った挿絵を描いています。
第1巻は、乳幼児期の大切さ、子どももおとなも繋がりを持つ大切さについて書かれています。授業で「基本的信頼関係」の大切さを学んでいると思います。子どもが身近な人を信頼し、周囲に目を向け、愛おしい気持ちをもつことが土台となり、様々な力をつけていくことができるということです。
「しつけ」については、伝えたいことを丁寧に何度もくり返して伝え、できるようになるのは子どものタイミングに任せて待つということ。そうすることで、子どもは人を信頼することを覚え、自律心のある子どもに育つというところです。丁寧に寄り添いながら、子どもを信じて待つおとなの姿勢は大切ですね。
第2巻は、育児の不安や悩みなど、読者からの質問にやさしく答えています。保育を学ぶ人にも参考になるところがたくさんあります。
第3巻は、障がいのある子どももふくめ、みんなが共に生きていく社会をめざしていく大切さが述べられています。
最後に、本の分厚さに驚くかもしれません。最初から通して読もうと思わなくても大丈夫です。まず、目次を見て自分が関心を持ったところから読み始めてください。一つ一つのタイトルに、著者が語りかけるように、子どもとどう向き合っていくか、軽やかにやさしく述べています。どうぞ、手に取って時間をかけて楽しんでください。
こども学科 川谷 和子